こんにちは!はな保育園ひろじほんまちです
暖かな陽の光とともに、小さな虫やかわいらしい草花を見かける季節となり、
いよいよ、今年度も残りあとわずかとなりました。
この一年で大きく成長した子どもたちの姿をうれしく、頼もしく感じているこの頃です。
今日はちきゅう組(5歳児)が年明けから取り組んできた物語『エルマーの冒険』の劇あそびの様子をお伝えします。
〈登場人物になりきって〉
~あらすじ~
年取ったのらねこから、どうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。
どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で次々と動物たちをやりこめていきます。
エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?というお話です。
イラストが少なく耳で聞き物語を想像しながら楽しむ本となっている為、初めの頃はあまり関心がない子の姿も見られました。
しかし、毎日繰り返し読んでいるうちに「次はどうなるんだろう」「早く読んで」と次の展開が気になるようになり次第に本を読むのが楽しみになってきました。
楽しくなってくると「登場人物になりたい!」という気持ちが芽生え、そこから衣装づくりが始まりました。
「ぼくはサルになろう!色は黄色の画用紙にしようかな」
「ぼくはつのがかっこいいサイになろう!」
「ぼくはトラになりたい」
「しっぽもシマシマ模様にして…」
完成!!
なりたい登場人物をイメージしながら取り組みました。
これまでの経験を活かし使う素材によって道具や必要な材料を決めて、どのように作ると思っているものができるかを工夫して作っていました。
また、物語の中でとても重要となる物…
エルマーのリュックの中に入っている食べ物や道具も「必要だね」という話になり作りました。
「ぼくはどうぶつ島への行き方が分かる地図を描くんだ!」
「私はワニの好物のぼうつきキャンデーを作ろう🍭」
「ぼくはトラが食べるチューイングガムを作るぞ!!」
「私はりんごを作ったよ」
「イノシシが見つけるみかんを作ろう!よーく練って色を混ぜて…」
「線を付けたら…完成!!」
「エルマーが乗る船も作りたいね」
一人ひとりが作りたい物を思い浮かべ、それを作る為にはどんな風に作ると良いかをみんなで悩み考えながら楽しく作りました。
また完成した衣装を着て遊んだり作った物を使って役になりきったりして遊んでいる子も見られました。
〈どうぶつ島で遊ぼう〉
近所に木がたくさんある公園があります。
そこへ遊びに行った際に数人の子が「ジャングルみたいだね」と話していたことがきっかけで冒険ごっこが始まりました。
「あっ!何かあるよ」
誰かが何かを発見しました。近づいてみると…
なんとみかんの皮が落ちていたのです!!
子どもたちは大騒ぎ
「エルマーが来たんだ!どこかにいるかもしれない」
さっそくエルマー探しが始まりました。
「エルマーはどこだ?」
「これって足跡かな?」「きっとそうだよ!この近くにいるかもしれない」
「この木、りゅうみたい!」
木をりゅうに見立て、またがっている子もいました。
「今からみかん島へ出発だ!!」
こちらでは落ち葉を集めて、ぴょんぴょこ岩を渡る際に岩と間違えたクジラを作っていました。
「尾ひれも作ろう!」
みんなで協力して大きなクジラを完成させました。
大きな石を集めぴょんぴょこ岩を作っている子もいました。
「そーっと、そーっと」
落ち葉集めをしている時のことです。1人の子が何を発見しました。
「これはなんだ?」
「!?」
「エルマーの地図だ!!」
「みんなー!地図が落ちてたよ!見て見て!!」
「まだ、近くにいるのかもしれない」
「みんなで探そう!」
「エルマーがいる手掛かりがまだあるかもしれない」と、もう一度みんなで探すことになりました。
「みかん島に到着した際にエルマーが休んだ木があった!」
「これはりゅうを繋いでいた杭とハンドルに似ているぞ」
「この木はハンドルに使っていたかもしれない!」
「回せるかな?」「試してみよう」
その後も「りゅうの卵だ!」と卵に似ている切り株を見つけたり「エルマーの声が聞こえた」と話している子もいたりと子どもたちの想像力はどんどん膨らんでいき、みんな夢中で遊んでいました。
〈りゅうを作ろう!〉
それぞれなりたい登場人物になれたことで、りゅうは「カプラで作ろう!」ということに決まり、みんなで協力して積みました。
これまで様々な積み方を経験してきた子どもたちは、りゅうの身体の足、胴体、首をどうやって積むかを話し合い色々試して積んでいきました。
最初に作ったりゅうは、足が細かったことで上に積んでいたカプラの重さに耐えきれず崩れてしまいました。
そこで足を太くする為にカプラの本数を2列から4列に増やし作ってみました。
次に完成したりゅうは、少しの振動で崩れてしまい・・・
どうすると崩れないかを考えた末…
「足をもっと太くすること」「首も太く頑丈にすること」を意識し、作り直していきました。
そうして試行錯誤し、積み続けやっと完成することが出来ました。
〈劇あそび〉
遊びが広がり楽しくなってきた子どもたちは「劇にしたい」と提案しました。
そこで場面ごとに誰が出てくるのかを考え、自分たちでどんなことを言うか話し合ってセリフを決めていきました。
繰り返し行っていくなかで分かりにくい部分はどうすると観ている人に伝わるかを考えたり、友達がしているところを観てどうだったかをみんなで意見を出し合って説明や動作を加えていきました。
自分で考えた言葉を言えるようになったことで、大きな声で堂々と演じるようになってきた子どもたち。
そして、保護者の方に観てもらおうと練習を重ねてきました。
~劇あそび「エルマーの冒険」~
雨が降っている日のことです。
エルマーは1匹ののらねこに会いました。
行くところがないねこにエルマーは「ぼくの家においで」と自分の家に招きます。
ミルクをあげている所へ猫嫌いのエルマーのお母さんがやってきて、ねこを窓から放り出します。
慌てて追いかけて行ったエルマーはねこを見つけ、公園に向かい2人で楽しい話をしました。
そこでエルマーは「自分は飛行機が好きで飛行機に乗っていろんなところへ飛んでみたい」と話をします。
それを聞いたねこは自分が去年の春にみかん島へ出かけたことを話し始めます。
「みかん島へ行く途中、側を通ったどうぶつ島が面白そうに見えた為、行ってみることにしました。そこで1匹のりゅうがどうぶつ島へ落ちていく様子を見たのです。
どうぶつ島の動物たちは川を渡る道具としてりゅうを使い、たくさん働かせたりいじめたりしていたのです。」
ねこは助けることが出来なかった為、エルマーにりゅうを助けてみないかと提案します。エルマーの返事は「もちろん!やってみるとも!」
さっそく冒険に出る為の準備を始めます。
リュックサックに食べ物や色々な道具を入れ、ねこにどうぶつ島への行き方を教えてもらいます。
「みかん島からぴょんぴょこ岩を渡ってどうぶつ島に行くんですよ。」
港に着いたエルマーは船員たちに見つからないように麦袋の中にさっと隠れます。
「次はみかん島クランベリーだぞ」
みかん島へ到着し、急いで袋を片付け、どうぶつ島に行くための道、ぴょんぴょこ岩に向かいます。
ぴょんぴょこ岩を渡り、お腹が空いたエルマーはみかん島でとったみかんを食べます。
そこで皮を落としてしまったことでイノシシにどうぶつ島へ侵入したことがバレてしまいます。
「どうぶつ島にはみかんの木はならないはずだが…」
その他の動物にも存在がバレてしまいそうになります。
「なんて、かわいい岩だこと。おっと間違い。なんておかしな小さな岩だこと!」
ねずみはエルマーのリュックサックを岩だと勘違いします。
カメはエルマーをサルと間違え、リュックサックを病気のおばあさんだと思い込みます。
他の動物に合わないよう警戒しながら進むエルマーでしたが、トラに出会ってしまい、食べられそうになります。
「わしが気がつかんと思っていたのか。おまえを食うぞ!」
「ちょっと待ってください。いいものを持っていますよ。」
そこでエルマーはリュックサックの中からチューイングガムを取り出します。
「これは特別上等のチューインガムですよ。よく噛んでいるうちに緑色になるので、それを地面に撒いてください。たくさんのチューインガムがなりますよ。」
それを聞いてトラはエルマーからガムを奪い取ります。
ガムを地面に撒き、実がなるのを待っている隙にエルマーは逃げ出しました。
走って逃げてきたエルマーは川に着き、喉が渇いたため、水をすくって飲もうとしました。
すると突然
「こらー!!ここは俺様の泣きべそプールだぞ」
怒ったサイが現れ、エルマーを襲おうとします。
そこでエルマーは泣きべそプールだと知らなかったこととどうして泣きべそをかきたくなるのか尋ねます。
サイは「この角だ!昔は白かったが、年を取って汚くなってしまった。」と答えます。
そこでエルマーはリュックサックから歯ブラシとチューブ入り歯磨きを取り出して、サイの角を磨きます。
池の水で角を洗ってみると角は真っ白になっておりサイはとても喜びました。
歯ブラシを渡し、サイが自分で角を磨いている間にエルマーは逃げ出すことが出来ました。
次にエルマーは怒っているライオンに見つかってしまいます。
そこで「なぜそんなに怒っているのか」尋ねます。
ライオンは「たてがみに黒いちごの枝や葉っぱが絡まっているからだ」と説明し、エルマーを食べようとします。
エルマーは「あなたのたてがみをすっかりきれいにするいいものがある」と伝え、リュックサックからブラシとリボンを取り出します。
たてがみを梳かし、リボンで結んだことですっかりきれいになりました。
大喜びのライオンはさっそく自分でもブラシでたてがみを梳き始めます。
その隙にエルマーは逃げ出すことに成功しました。
りゅうがいるであろうところのだいぶ近くまで来たエルマーはゴリラに見つかってしまいます。
「俺が10数える間におまえの名前と年とリュックの中身を言え」
「1、2、3、4、5…」
「ぼくの名前はエルマー・エレベーター。年は…」
エルマーは質問に答え切ることができませんでした。
「のろま!おまえの腕をねじるぞ!…うっ…かゆい、かゆいぞ!ノミめ…誰か助けてくれー」
ゴリラの声を聞いてサルが助けにきました。
ノミを探し「なかなか見つからないよ」と困ってしまうサル。
そこでエルマーはリュックサックから虫眼鏡を取り出しノミ探しに使うよう渡します。
「見える。見える。ノミがよく見える何100匹も見えるぞ!」と嬉しそうなサルでした。
そうしている間にエルマーはまた逃げ出すことができ、りゅうがいる川に来ることが出来ました。
川には着きましたが、りゅうの姿が見えません。
川の反対側にいることが分かり、どうやって川を渡ろうか考えているとワニが現れます。
「美味そうなやつがいるぞ」
「いい気持ちだよ。水の中は。ちょうど、美味いもんはないかと困っていたとこさ。どうだい?ちょいと水の中に入ってこないかい?」
「けっこうです。でも美味しい物なら持っていますよ。」
エルマーはリュックサックから棒付きキャンデーを取り出します。
棒付キャンデーが大好物なワニたちはエルマーの言うことを聞き、しっぽの先にキャンデーを付け、背中に乗って川を渡っていることに気がつきません。
そこへ怒った動物たちが追いかけてきました。
「おーい、待てー!!」
ワニの背中に乗りバランスを崩して川に落ちていく動物たち。
エルマーは無事、りゅうのもとへ行くことが出来ました。
「今から助けてあげるからね。じっとしているんだよ。」
りゅうの背中に乗ったエルマーを見て、慌てる動物たち。
「どもれ、どもれ。りゅうが必要だ。おっと間違い。もどれ、もどれ。りゅうが必要だ。」
必死でねずみが後を追います。
「エルマーとりゅうは無事どうぶつ島から逃げ出すことが出来ました。」
緊張している様子の子も見られましたが、これまでしてきた中で1番堂々とセリフを言うことができました。
また、役になりきって自分なりにアレンジをして演じる子どもたちの姿が見られ、すごいなと感動しました。
みんなで1つのことをやり遂げること、その為に一生懸命取り組んだり友達と協力したりすることの大切さを、この劇遊びで知ることができたのではないかなと思います。
今回、大勢の保護者の方に観て頂いたことで子どもたちにとって大きな自信へ繋がり、大きく成長することができたのではないかなと感じます。
そんな子どもたちの成長をとても嬉しく思い、ちきゅう組の子どもたちのことを誇りに思います。
卒園まであとわずかとなりましたが、進学を心待ちにしながら、子どもたちと楽しく過ごしたいと思います。